私がパニック状態から抜け出すまでの、3月14日~15日にかけての記録です。


☆要注意!☆
※当日を振り返っての記録ですので、原発事故に関しての情報は、3月22日現在にはあてはまりません。
※私や夫の憶測でものを言っている部分(斜体部分)は事実ではありませんので、この部分の内容は信じないでくださいね!

☆原発事故について、落ち着いて現状を理解するにはこちらをおすすめ!
分かりやすい!放射線や放射性物質を「おなら・うんち」に例えた動画
http://dt.business.nifty.com/articles/655.html


3月15日火曜日、未明。

長い夜だった。
朝起きて、世界が一変していたら…と考えると、眠るのが恐ろしかった。
でも、非常時なればこそ体力を保つために眠らないわけにいかない。
ましてや私はお腹を下したばかりで、あまりのことに胃が緊張でしこり吐き気までする。
これで一睡もしなければどうなるか明らかだった。
こんな場面で体調不良なんて最悪だ。


しかたなく、眠ろうとしてテレビを切った。
でも、今日ばかりは沈黙と暗闇が安らぎをつれてこない。
きりきりとした焦燥と恐怖があるだけ。


結局、テレビをつけっぱなしで眠ることにした。
それに、もし臨界事故になったら、すこしでも曝露を防ぐために、
すぐに家中の換気扇を閉めなければならない。
(※上記の動画を見ていただければわかりますが、現在、避難・屋内待機指示の出ていない地域では、この対応は不要です。皆さんパニックになりませんように!)


長い夜だった。
手を組み祈り続けながら、
時折うとうとと舟をこぎ、テレビの音声が一瞬でも途切れれば飛び起きた。


お願いします。
お守りください。
どうか、最前線で戦っている職員さんたちを無事に帰してください。
どうか、悲惨な被害にあわれた方々にこれ以上の苦しみを与えないでください。
どうか、この国全体に何年も残る傷を刻ませないでください。
どうかどうか、お願いします…


長い2時間の後、午前4時ごろ。
炉心の状況を考えると、いつ致命的な報告が来てもおかしくないころ。
一報が入った。
が、間抜けなことが起こる。
夫のいびきの音が高すぎて全く聞きとれない!
緊迫した場面なのに逆に笑えて来た。
どうにか拾った情報では、高圧状態を解消するための弁は開いた。ただし水が入っていかない。
理由は現在調査中とのこと。
予断は許さないが、一息ついた。
あとは、水さえ入ってくれれば…と思い、また祈りながらうとうととまどろみに入った。


午前6時30分。普段起きる時間である。
しかし、追加の情報がこない。なんだかはっきりしない状況である。
ふだんなら夫は7時に出勤してしまう。
行くなとは言わないが、不安…と思っていたらすこし時間を遅らせてくれた。
ひととおり準備が終わり出勤、という段になって、テレビがまたトンデモなことを言い出した。


2号機で爆発音、圧力制御室破損。


夫婦そろってハア!?と声をあげる。
なんなんだこのドミノ倒しの同時多機能不全は。
現実、おまえいつから『24』になったんだ。


夫は驚きつつもとにかく出勤するという。
不安で不安で、帰ってきてね、と泣きつくと、
死亡フラグやめろ(笑)と空気を和ませて出かけていった。


それにしても、寝不足で体が重い。胃がむかむかする。
食事をしなくては…と思いながらも動く気になれず、
ソファでうとうとする。


テレビを遠く聞きながら、気がつくとお昼ごろ。
なにか聞き捨てならない単語を聞いて目をさます。


4号機火災。使用済燃料再加熱か。


…ぷつりと恐怖の感情が途絶えた。
なんだろう。ぼんやりする。
起き上がる気力すら起こらない。


ぼうっとしたままチャンネルを回す。
安心させてくれる情報がどこにもない。
どの番組ものっぺらぼうの立方体が画面にあるばかり。


と、ふと何気なくまわしたチャンネル。
いつも見ているワイドショーの面子が深刻な顔をしている。


佐野元春さんの詩が紹介される。
…。
聞いて、ずっと我慢してた涙がぽろぽろこぼれてきた。
画面の向こうで、キャスターの方も声をつまらせている。


現実感が戻ってきた。
直接被災したわけでもないのに、情けない。
涙をぬぐって、残り物をあたため、昼食の準備。
食欲は全くなかったが、えづきながらむりやりご飯粒を飲み込んだ。


午後4時現在、4号機の火災は鎮火したらしい。ありがたい。



…覚悟を決めた。

これから、何が起きても、それがどんな最悪のシナリオでも、
それが現実なら、私は全部受け入れる。
そして、同時に希望は捨てない。


どうしてもできなかったこと、
どうにもならなかったことを想像して悔やむのをやめる。
IFの話は、もうやめる。


世界がどんなに変わっても、誰を、何を失っても、私は生きていこう。
私のできることを全力でしよう。


そして、信じよう。
みんな、必死でがんばってる。
そのがんばっている人たちを信じよう。
不安にかられてダメだ、と口にするのをやめよう。
うまくいくのを信じよう。
強く信じることで、その未来を呼び込もう。


それが今、私にできることだ。


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これは、15日に一気に書き上げたものです。

自分の不安や思考を書き出すことで、私は少し冷静になれました。

もし、何かもやもやしたものを溜め込んでいるなら、吐き出すことで少し楽になれるかもしれません。